沖縄県と(公財)沖縄県文化振興会は、2024年11月29日(金)に「文化団体向け旅行商品化セミナー 観光事業者×文化団体 Meet up!!繋がりをつくろう」を沖縄空手会館にて開催しました。
文化団体、伝統芸能団体、旅行社、宿泊事業者、観光協会、観光業従事者等の多くのみなさまにお集まりいただきました。
今回のセミナーの司会は、お笑いと組踊をかけ合わせた「組踊漫才」で話題の、オリオンリーグ(よしもと沖縄)さん。
第1部は開催概要及び事業説明を、沖縄県文化振興会の文化嘱託員八巻より紹介しました。
今年度の旅行商品(ツアー)造成は「地域にあるイベントの活用、地域の行事を見に行く機会の創出、地域の文化団体や実演家を活用した旅行商品の造成」に着目し、振興会では4月から観光協会や旅行社等にヒアリングを実施し、八重瀬町、八重瀬歌舞団さんとともに旅行商品を造成することを決めました。
第一部の「文化・観光・まちづくりをつなぐ文化観光のあり方」では、今回のツアー造成に携わる関係各所のみなさまにご登壇いただきました。
八重瀬町の文化団体・実演家として活躍されている神谷武史氏(沖縄県立芸術大学/八重瀬歌舞団)、屋嘉比健作氏(八重瀬歌舞団)、金城ミカ氏(東武トップツアーズ)、金城一史氏(八重瀬町観光物産協会)に登壇していただきました。
神谷氏は、平成23年頃は地域の文化団体から「文化は売り物にするものではない」という声が多かったが、近年どこも後継者不足、予算不足が課題となっている現状があり、「社会が変わっていく中で、文化のあり方も少し変わっていかなければならない時期に来ている。」とお話しされました。さらに、八重瀬歌舞団の将来的な夢は「芸能で役場に雇用されること」であり、その人材像は「実演だけでなく、レクチャーもできて、芸能公演に必要な施設・設備の環境整備と運営ができ、それを守り、情熱のある人であること」です。そのような人材を育てる場所にしなければならないという思いから、この事業にトライアルしたことを語ってくれました。
金城ミカ氏は、「持続可能になっていくためには、生活ができるということ。対価をもらうことで、お互いにWin-Winになることが一番の持続可能な観光になる」と述べられ、今回の旅行ツアーのサブタイトルは「八重瀬の祈り(UMUI)」とし、「八重瀬町は五穀豊穣や人々の健康へのいろいろな思い、願いを込めている地域であることをコンテンツにした」とご説明されました。文化団体、実演家、地域、行政、企業との一体感によって、点ではなく線でつながり巡ることで持続可能な観光につながると、この事業に参加した理由をお話しされました。
金城一史氏は、八重瀬町にはさまざまな課題があり、伝統文化の継承もその一つであることを述べました。ある地域のエイサー団体では11年間で1名の新加入者しか現れず団体が解散した事例を挙げ、伝統芸能が継承されにくくなっている現状を述べました。
そのうえで伝統文化を産業化し、生活の安定化を図る取り組みとして、修学旅行に着目し八重瀬歌舞団と県外の高校生向けに「宮廷芸能と民俗芸能」の違いについて学習してもらうメニュー作りを行ったことを紹介してくださいました。修学旅行での体験から、沖縄リピーターを作り出すことを目指している。
八重瀬歌舞団の屋嘉比健作氏は、「地域に伝わる芸能を見たいニーズが増えている」と述べました。文化団体と行政機関が一緒に旅行商品の造成に取り組むには、「地域のキーマンを見つけることが大切。また各市町村のキーマンを育てていくことが重要になる」と語ってくれました。
第2部の交流会「Meet-Up!!観光事業者×文化団体」では、文化団体と参加者が自由に歓談できる時間を用意いたしました。
5団体がそれぞれブースを構え、活動内容や提案できるプログラム等についてプロモーションしていただきました。
各ブースでは参加者が質問をしたり、お名刺交換をするなど、和やかな雰囲気に包まれました。ご参加いただいた方からは「文化団体の熱量を知った」、「少人数の交流で情報収集しやすかった」、「多くの団体と話をする機会が持ててよかった」、「ネットワーク促進になった」とお声をいただきました。
ご参加のみなさま、ありがとうございました。